アズED・パパンと娘…の派生。

強引さが似ていたのかもしれない。 もしくは、声の高さ。 もしくは、扱う武器のチョイス。 もしくは、話す時の目線の高さ。 「お試しでも良いから付き合ってくれ」 幾度目か、何人目かとも分からない申し入れを初めて受けようと思ったのは、何故だったのか。 単なる気紛れという以外で挙げるとすればひとつだけ。 彼に“彼”の多少の類似点があるという事。 今となっては、曖昧な後悔しか残らない。 「アズリアさん」 (違う。あいつはもっと柔らかく呼ぶ。) 「今日はどこへ行きますか?美術館…いや、芝居を観に行くのも良いですね!」 (もっと真っ直ぐに見つめてくる。素直に泣き、素直に怒って、) (もっと、綺麗に笑う) 自分を抱き締める腕だって、もっと、 自分の事を見てくれない、辛いから、別れてほしい。 そう告げられたのは、『お試し』を始めてそう間もない頃。 その言葉を前に可哀相な事をした、という気持ちは湧いたが、一向に悪い事をしたという気持ちは浮かばない。 彼以上に自分の中に侵入してくる人間など、いる筈がないのに。 始めから分かっていた事だろう? 望みを持たせた自分が悪いのか、霧のように手応えのない希望に縋った相手が悪いのか。 いつまでも居座り続ける彼が悪いのか。 最高の後味の悪さを感じながら、 すまない、と告げる。 心にも無い台詞であると、目の前の彼は見破れるだろうか? +++++++++++++++++ アズたん罪作り編。これくらい不器用なくらいがいいのかな、と!