Like a cat

その仕草はまるで猫のようで、次の瞬間には 「こんなデカくて可愛くない猫がいてたまるか…」 そう呟いて、その考えを完全に拭い去った。 風が吹く。穏やかな風。 赤毛をさらさらと揺らして、無意識のうちに陽の当たる場所へと体を進める彼は 日向ぼっこをしている猫、そのままだった。 アズリアは嘆息してレックスの横へとしゃがみ込む。 いつも穏やかに澄んでいる青い瞳は、今は目蓋に遮られて見えない。 さわさわと辺りには木の葉同士が擦れあう音が響く。 校舎から離れたこの場所では、それ以外、 「…………んー…」 「………。」 猫のような彼の寝息だけ。 地べたにそのまま転がって寝るだなんて!だとか 外で寝てると風邪引くぞ!だとか そもそも呼び出したのはお前のくせにこの様は何なんだ!とか 思うところは様々なのに、アズリアには気持ちよさそうに眠るレックスを叩き起こしてまで 文句を言ってやろうという気は起きなかった。 静かで、穏やかで、触れれば揺れてしまいそうな眠り。 できれば、それを壊してしまうことはしたくない。 アズリアは柔らかにそそぐ日差しを頭上に感じながら、本格的に座り込むことを決めた。