観察

真剣な面もちでペンを走らせるその横顔。 フレームの向こう、赤みがかった薄めの睫毛が影を落とし、 さらにその奥では海を思わせる蒼が光を漂わせていた。 手の動きに合わせてわずかに揺れる前髪は、ふわふわと柔らかそうだった。 ランプの光に照らされた、男にしては白い肌。 手入れもしていないのにきめ細やかなそれは、ほんの少し憎らしい。 いつもは快活にパクパクと動いている唇は、集中しているからか真一文字に締められている。 少し乾燥しているようだから、後でクリームを塗ってやろう。 スラリと流れる顎筋は 「ねえアズリア?そんなに見られると恥ずかしいんだけど。俺、穴が開いちゃいそうだ…」 …折角見てたんだから知らない振りしていろ!